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白化したサンゴが5日で復活?元気な仲間と触れ合う効果

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真っ白になって「もう助からない」と思われていたサンゴが、元気な仲間とくっつくだけで、わずか5日で色を取り戻した――。そんな驚きの実験結果が発表されました。

2026年10月14日、アメリカ・スタンフォード大学の研究チームが、白化したサンゴの回復に関する研究を科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表しました。チームはこの方法を「ヘルピング・ハンズ(助けの手)」と呼んでいます。

ニュース本体:「触れ合い」が白化サンゴを救った

まず「白化」について確認しておきましょう。サンゴの体の中には「褐虫藻(かっちゅうそう)」と呼ばれる小さな藻が共生していて、光合成で作った栄養をサンゴに分けています。サンゴの色の多くも、この藻によるものです。ところが海水温が上がりすぎると、サンゴは藻を手放してしまい、白い骨格が透けて見える「白化」が起こります。白化が長く続くと、サンゴは栄養不足で死んでしまいます。

研究を主導したのは大学院生のダニエル・コリンズ氏と、サンゴ研究で知られるスティーブン・パルンビ教授です。チームは実験室で、ハナヤサイサンゴの仲間(英語でカリフラワー・コーラル)のかけらを、健康なものと白化したものの2つ1組にして並べました。

その結果、健康なサンゴと白化したサンゴが「直接触れ合っている」場合にだけ、白化したサンゴが回復しました。数ミリ離して置いただけでは、目立った効果はなかったといいます。回復が始まるには最低3日間の接触が必要で、5日間くっついていれば完全に色が戻り、その後は離しても大丈夫でした。

レーザー顕微鏡で観察すると、接触から1〜2日で両者の組織が融合し、健康なサンゴから白化したサンゴへ共生藻が移っていく様子が確認されました。研究チームはこのつながりを「栄養のハイウェイ」と表現しています。

ただし、条件がありました。この方法がうまくいったのは、遺伝的に同じ群体(「ジェネット」と呼ばれる同じ遺伝子を持つグループ)どうしの場合だけ。遺伝的に異なるサンゴを組み合わせると、刺胞(しほう:毒針を出す細胞)を使った攻撃反応が起き、研究者はこれを臓器移植の拒絶反応にたとえています。

きっかけは偶然でした。パルンビ教授の実験室で、健康なサンゴと白化したサンゴがたまたま傾いて触れ合い、白化した方が回復しているのに気づいたのだそうです。

独自リサーチ:世界のサンゴは「84%」が高温にさらされた

この研究が注目される背景には、サンゴ礁の深刻な状況があります。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は2024年4月15日、世界で4回目となる大規模なサンゴの白化現象が起きていると発表しました。2023年初めから続いたこの白化では、世界のサンゴ礁の面積の約84%が白化を起こすほどの熱ストレスにさらされ、少なくとも83の国と地域で大規模な白化が記録されています。NOAAは、この現象が2025年半ばにおおむね終わったとみています。

パルンビ教授は、以前から「熱に強いサンゴ」の研究で知られています。2009年に発表された研究では、アメリカ領サモアのオフ島で、水温が高くなりやすい浅い潮だまりのサンゴほど、熱に強いタイプの共生藻を多く持っていることを示しました。つまり「どんな藻と組むか」がサンゴの生き残りを左右するという考え方で、今回の研究もその延長線上にあるといえます。

とはいえ、今回の成果はあくまで実験室でのものです。コリンズ氏自身も、実際のサンゴ礁は規模が大きすぎるため、サンゴどうしを一つひとつくっつける方法をそのまま海で使うのは難しいと認めています。チームは次の段階として、健康な共生藻を取り出して培養し、白化したサンゴに戻す方法を探っています。共生藻そのものは拒絶反応の問題を起こしにくいと考えられるためです。

日本への影響:石西礁湖のサンゴにも希望

日本も無関係ではありません。沖縄県の石垣島と西表島の間に広がる日本最大級のサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」では、たびたび大規模な白化が起きています。環境省の調査では、2022年9月の石西礁湖の平均白化率は92.8%、死んだサンゴの割合は17.7%にのぼりました。また、2004年の調査開始時に50%あった平均のサンゴの被度(海底をサンゴが覆う割合)は、2017年度には20%まで下がっています。

環境省は2006年から石西礁湖で自然再生事業を進めており、サンゴの植え付けなどの取り組みも行われています。今回の研究が示した「白化したサンゴもまだ見捨てなくてよい」という考え方は、植え付けたサンゴを育てる現場の人たちにとっても心強いメッセージになるはずです。将来、共生藻を培養して戻す技術が実用化されれば、日本の再生事業でも活用できる可能性があります。

意見:「救える」ことと「白化を防ぐ」ことは別の話

白化したサンゴが回復する仕組みが見えてきたことは、間違いなく明るいニュースです。これまで「白化したら終わり」と考えられがちだったサンゴに、もう一度チャンスがあると示した意味は大きいと思います。

ただし筆者は、この成果を「温暖化が進んでも技術で何とかなる」という楽観に結びつけるべきではないと考えます。理由は2つあります。1つ目は、この方法が実験室の小さなかけらで確かめられた段階にすぎず、何千キロにも広がるサンゴ礁に使えるかはまだ分からないこと。2つ目は、海水温が下がらなければ、回復したサンゴも再び白化してしまうおそれがあることです。治療法の研究と、海の温度上昇を抑える取り組みは、両方同時に進める必要があります。

まとめ

・スタンフォード大学の研究で、白化したサンゴが健康な仲間と5日間触れ合うと、色を取り戻すことが分かりました。
・組織が融合して共生藻が移る「栄養のハイウェイ」ができますが、遺伝的に同じサンゴどうしでしか成功しません。
・世界では2023年からの白化で、サンゴ礁の約84%が高温にさらされました。
・日本の石西礁湖でも白化が続いており、共生藻を培養して戻す技術の研究に期待が集まります。

白いサンゴは「死んだサンゴ」ではなく、「助けを待っているサンゴ」なのかもしれません。今後の野外での研究にも注目していきたいと思います。

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【出典・参考】
https://www.cp24.com/news/world/2026/10/14/healthy-corals-help-bleached-neighbours-regain-colour-study-shows/
https://phys.org/news/2026-10-healthy-corals-neighbors-days-contact.html
https://scijinks.gov/news/worlds-fourth-mass-coral-bleaching-event-likely-ended-2025
https://biox.stanford.edu/highlight/stanford-scientists-find-heat-tolerant-coral-reefs-may-resist-climate-change
https://www.env.go.jp/press/press_00713.html
https://www.env.go.jp/press/105015-print.html

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