「地球の衛星はいくつ?」と聞かれたら、多くの人が「月の一つだけ」と答えるはずです。その答えは基本的に正解ですが、実はほんのときどき、地球はもう一つ小さな星を空に従えることがあります。今回は、近い将来に地球の”第2の月”になるかもしれない小惑星「2022 RD2」についての最新研究を、分かりやすくご紹介します。
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地球の衛星は、本当に月だけ?
地球がずっと変わらず連れている自然の衛星は、月のたった一つだけです。ここで「自然の」と断るのは人工衛星を除くため、「ずっと変わらず」と断るのは、一時的になら月以外の天体が地球の周りを回ることがあるためです。
太陽系には数えきれないほどの小惑星が漂っており、地球のすぐ近くを通り過ぎるものも珍しくありません。その多くは太陽を中心に回っていて、地球の横を通ってもまた太陽の周りの旅へ戻っていきます。ところがごくまれに、地球のそばを通った小惑星が、太陽中心の軌道から地球中心の軌道へと進路を変えてしまうことがあるのです。
地球が重力で「捕まえる」
これは、地球がその重力を使って小惑星をひょいと捕まえる現象です。こうして地球の周りを回りはじめた小惑星は、立派な地球の衛星、つまり”第2の月”と呼べる存在になります。専門的には「不規則天然衛星」と呼ばれますが、研究者のあいだでも親しみを込めて「第2の月」「ミニムーン」と呼ばれます。
捕まえたといっても結びつきは不安定で、衛星でいられるのは数か月から数年ほど。やがて地球の重力をふりほどき、再び宇宙の旅へ戻っていく——一時のはかない第2の月。これまで見つかったのは、ほんの5個ほどしかない。
2022 RD2は「常連客」だった
研究者たちが小惑星2022 RD2の今後の軌道を計算したところ、おどろくべき予測が出てきました。
- 2043〜2044年にかけて、なんと3回も地球の第2の月になる
- さらに2080年以降のおよそ40年間にも、ふたたび地球のそばを回る時期が訪れる
- 一度きりではなく、何度も地球を訪れる”常連客”のような小惑星
「ミニムーン」と「準ミニムーン」の違い
研究者は第2の月をさらに細かく分けています。地球を中心とした軌道に入っている小惑星のうち、地球の重力がしっかり及ぶ範囲——「ヒル球」と呼ばれる半径およそ150万kmの空間——の内側まで入ってくるものを「ミニムーン」、その外側を回るものを「準ミニムーン」と区別しています。2022 RD2の場合、何度か地球を回る時期のうち、いちばん最後の時期にだけ、一時的に本物のミニムーンの基準を満たすと予測されています。
まぎらわしい存在「準衛星」
よく似ているけれど少し違うのが「準衛星」です。準衛星は地球から見ると地球を回っているように見えますが、実際には太陽を中心に回っている天体で、力学的には地球の衛星ではありません。たとえば小惑星「カモオアレワ」は準衛星として知られ、月の破片かもしれないという説もあり、世界中の研究者から注目を集めています。第2の月と準衛星は、似ているようで中身は別物なのです。
はやぶさにつながる、日本と小惑星研究
日本は小惑星研究で世界をリードしてきた国の一つです。探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」が小惑星イトカワやリュウグウのかけらを地球に持ち帰った成果は、世界的にも高く評価されました。地球のそばを通る小惑星を見つけ、その動きを追う今回のような研究は、地球に近づく天体を理解するという大きな流れの一部でもあります。
第2の月になるような小惑星のほとんどは小さく、地球に衝突する心配はありません。それでも、地球の近くを通る天体を日頃から監視し、その軌道を正確に計算する技術をみがいておくことは、将来の備えにつながります。ロマンと実用を兼ねているのが、この分野のおもしろさです。
夜空を見上げたとき、月のほかにも目に見えない小さな同行者がいるかもしれない——そう思うと、いつもの夜空が少し豊かに感じられます。
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